おもいつき

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縄文食会

2月8日に「縄文食会」なるイベントに参加してきまして。キッチンスペースを貸し切りにして猪丸一頭を打製石器で解体・調理してみんなで食べようというイベントです。例によって妙なイベントを見付けてくることに定評があるニケの仕業。

石器というと、ちょっと前に縄文ルンバさんが自作の打製石器で肉を切ってる実演動画を見まして、予想以上の切れ味に驚いたのを覚えています。

 誰しも子供の頃に一回くらいは石器を作ろうとその辺で拾った石を割ったことがあるとは思いますが、黒曜石だとここまで切れるようになるものなのかと。
誰ですか「石器は作ってみねぇよ」とか言ってるのは。人類の必修科目ですよ。ちゃんと進化できてますか?

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ちなみに縄文ルンバさんについては博物フェスティバルでお見かけして自作石器をと石器制作の手引き書をつい購入してしまったため、日本がいつ石器時代に戻ってもMayugeは大丈夫です。

さて、縄文食会では主催者側で猪と石器等調理の準備をする他、参加者各自が一品持ち寄りというシステムになっています。持ち込むものは単なる市販品でも構わないようですが縄文を感じられるものだとなお良しとのこと。何か一芸を課せられるがごときプレッシャーを感じます。
Mayugeは去年仕込んだ榧の実酒、ニケはこのところ仕込んでた自作の三升漬系調味料を引っ提げて参加ということで申請してみました。

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丸一頭解体というのでどんなもんかと思ったんですけど猪はわりと小振りなもの。中型犬くらいなのでかなり若い個体ではないかと思います。皮や内臓、頭などはすでに取り除かれており、いわゆる枝肉に処理済みの状態。当日になって予想ほど解凍が進んでおらず準備に難儀したとのことです。難儀というか具体的には急遽密閉したパックごと湯船に浮かべてたらしいですが。自宅の湯船に猪が浮いてるとかなかなかすごい絵です。

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打製石器はその界隈では知られた石器制作者である岩宿博物館館長さんがこのイベントのために作成されたものだそうです。いったいどこの界隈だよというツッコミは聞こえなかったことにします。数パターンの石器が調理用として会場に持ち込まれていましたが、解体用のメイン刃物として作られたものは一般に想像する細かく欠いて刃を形成する感じではなく、一撃で長い範囲を一発割りしたとおぼしい切断面。黒曜石でこれをやったらガラスの割れた面と同じですから切れるのも納得。実際猪肉は石器でなぞっただけでスイスイ切られていきます。ただし骨に当たったり横向きの力が刃先にかかったりすると簡単に欠けてしまうとのこと。具体的に言うと包丁感覚でまな板の上の食材を包丁の腹でさっと横にさらうような動きをしてしまうと一発でダメになるそうです。

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料理はシンプルにカットした猪肉を塩で焼いたものに始まり、骨付きリブ焼きなど焼き上がりそうになると前に行列ができ、出てくる端から次々に奪われていきます。なかなかの競争率。
肉汁に赤ワインと蜂蜜を即興で混ぜてソースが作られているのを見たギャラリーから「こんなん絶対美味いに決まってるやろ」の声が。

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さらに猪バラを焼いた際に出てきたたっぷりの猪ラードで揚げたフライドポテトという背徳的食べ物も。

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各参加者の持ち込み一品料理もなかなか個性を放ってました。
サラダ、自家製浅漬け、自家製梅干し、乾き物系のおつまみなどに加えて中央辺りにあるのがナッツのミートローフ風。たしか肉不使用と言われていたような気がします。味付けはクミンっぽい風味で意外とスパイシー。予想外の味でしたが美味しかったです。

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上はドングリクッキー。椎の実を練り込んだクッキー(縄文土器風)です。
甘さ控えめですごく香ばしくて好みの味でした。
下はドングリポタージュ。こちらも椎の実でジャガイモのポタージュ風。あとドングリコーヒーというのもありました。さすがにそんなに濃い風味の出る物ではありませんが黒豆茶とかに似てる感じ。

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とびんにゃ(?)の茹でたもの。
奄美かどこかで捕れる巻き貝だそうでイモガイ風の殻の中からかぎ爪のようなものが一本飛び出してます。「にゃ」は現地の方言で貝のことで、当地ではこのかぎ爪を岩に引っかけて飛ぶと言われているそうで、だからとびんにゃだそうです。酒飲みながら説明を聞いてたのでうろ覚えです。爪の部分をつまんでひねるように中身を引っ張り出して食べます。中身はソフトするめのような感じ。おつまみ性能が高い。貝殻が鮮やかで綺麗だったので殻を持って帰ろうと自分の皿に残しておいてたんですが、気付いたら片付けられてて持って帰りそびれました。残念。

この他にも縄文の名を冠した日本酒や自然薯焼酎、カマの照り焼き、栗蒸しようかん、鹿ジャーキー、鯛焼きなどいろいろありました。
なにげに最後の方、鯛焼きをオーブンで各自焼いて食ってる方々が楽しそうでした。


Mayugeは冒頭で触れた通り秋に漬けた榧の実酒を持ち込み。ついでに駅前のハナマサで炭酸水とロックアイスを購入してきました。
榧の実酒は梅酒準拠レシピで作成したつもりが砂糖を入れすぎてしまったのでけっこう甘め。ロックよりソーダ割がお勧めの仕上がりでした。なにしろ自分でも飲んだことがないものを作ってみたので完成品の正解がわからないんですが、針葉樹と柑橘の皮のような香りはなかなか悪くない仕上がりかと思います。けっこう色々な方に試していただけましておおむね好評でした。
ニケは会の終盤になると榧の実酒のストロングゼロ割りなる飲み方を開発して「榧の香りにレモンが合う!」と言いながらご満悦。割りっていうか酒精強化ストロングゼロだろそれ。しかも砂糖入ったからもうゼロでもねぇよ。強化ストロング。

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ニケの持ち込みは自作の三升漬的なものとか市販のものとか味変スパイスいろいろ。
先日世界の唐辛子とかいうのを通販し、塩麹と合わせて三升漬け的なものを作ったらしく、これを実戦投入してみたと。
真ん中辺に写ってるレモンドロップ塩麹というのが塩レモン的なものと見せかけて「レモンドロップ」という唐辛子の品種でして、この外見で青唐辛子の約二倍のスコヴィル値を誇る激辛ペースト。使ってみた方々からは「肉に合う」「騙された」「罠だ」と非常に好評でした。

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今回調理に使用した自作打製石器の他、見本として色々なタイプの自作石器が岩宿博物館から持ち込まれていまして。
これらは本物の石器と混同されないよう素材にはガラスを使用しているそうで、酒瓶の底などを利用した石器の作成がこれまたその界隈では一大ムーブメントとのこと。どこの界隈だよとか(以下略)
こういったガラス石器は岩宿の博物館でもお土産品として販売されているそうです。今回はイベントの賑やかしのつもりで見世物に持ち込まれたようですが、こんなイベントに参加する人が欲しがらないはずもなく、そのまま石器直売会となりました。
写真はMayugeが購入したやつ。

食べ物、石器、参加者といずれも濃い要素が多くとても満足度の高いイベントでした。

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会場はレンタルスペースのため参加者で会場を片付けて撤収となります。洗い物や掃除などを分担して片付けていたところ時間の都合で先に撤収された参加者の忘れ物が。

打製石器をお忘れのお客様~

持ち主がこの上なく明確で分かりやすいです。しかし今後の人生でも「打製石器の忘れ物」という単語を使用する機会はそうそう無いと思います。