おもいつき

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珍獣屋 最強の熊鍋

f:id:Mayugeloki:20180420011332j:plain珍獣屋なる飲食店がありまして。
名前からおおむね察しがつくとは思いますが、珍しい食材から一般的にはゲテモノに分類されるようなものまで様々な食材を使った料理が食べられる店です。ひと頃TV番組の罰ゲームなどに登場したウーパールーパーの丸揚げやなんかが有名どころかと。

で、例によってニケが以前から興味を示してたんですが、2月限定メニューで「ヒグマ&月の輪熊 ~最強の熊鍋~」というのをやってまして。これの期間内に一度食べに行きたいとのことで日程を調整してました。
当初の予定ではあと3人ほど同行予定だったんですが、日程が決まるとMayuge以外はなぜか全員急用ができたため参加者はニケ、Mayugeの2人のみとなりました。
ということで2月末、ニケと待ち合わせてバーフバリ鑑賞後、晩ご飯に珍獣屋を訪問。

f:id:Mayugeloki:20180420011721j:plain予約してあった「ヒグマ&月の輪熊 ~最強の熊鍋~」。1人前¥3980で2人前よりというシステム。
左側、ややくすんだ色でぶつ切りの方がツキノワグマ、右側のピンクがかって薄切りの方がヒグマとのこと。

明らかに肉の様子から違いますが、これは動物の種類によるというよりは、入荷元がそれぞれ別なので肉の下処理などの扱いの差の方が大きく影響してそうな気がします。スーパーのパックでいえばツキノワグマの方はシチュー用、ヒグマの方はしゃぶしゃぶ肉という感じの処理。食べ比べするならこの辺りも揃えてほしいところですけど、まあ肉の処理法まで選り好みできるほど出物が無いでしょうしね。ツイッターの写真では両方しゃぶしゃぶ肉っぽいのが並んでるので、下旬に入って在庫が乏しくなってきたのかもしれません。

f:id:Mayugeloki:20180420011757j:plain鍋ベースは味噌。八丁味噌かなと思ったんですが案内のボードに「80年味噌」とあり、単に熟成がものすごく進んで八丁味噌のごとき色と風味になっているだけかもしれません。いや「80年味噌」というのが熟成80年ものの味噌という意味なのかどうかもわかりませんけど。鍋の味を想像する分には八丁味噌仕立ての鍋で考えてもらえればだいたい近い雰囲気になるかと。

アクを取りながら煮立てて適当にしゃぶしゃぶで。具は熊肉以外一切何も無しという漢らしいスタイル。熊そのものを味わうには最適かもしれませんが純粋に鍋料理として見た場合は正直物足りないですね。もうちょっと具が欲しい。
肉はヒグマの方は拍子抜けするくらいクセがなく非常に食べやすい肉です。肉質は牛肉と豚肉の中間くらいという感じ。獣臭さもクセも感じず、ジビエ初心者でも抵抗なく食べられると思います。処理の良い猪肉に似てるような印象です。
ツキノワグマ肉の方は若干獣肉系のクセがあり、カットが薄切りではないこともあって食感も固め。先ほども書いたとおりこれは熊の種類による違いというよりは純粋に肉の鮮度と処理法の違いではないかという気がします。ツキノワグマについてもこちらのヒグマと同程度の状態の肉をぜひ一度食べてみたいところです。

f:id:Mayugeloki:20180420011823j:plain鍋を食い終わった頃に店員から「鍋の〆にうどんがあるんですがどうしますか?」との案内が。
1玉800円で2人前からの注文とのこと。
なんとなくうどんより雑炊の気分だったので訊ねてみたところ雑炊もOKとのことだったのでそのように。値段については触れられなかったので精算額から逆算してみたところ1人前800円くらいになったので、おそらく内容にかかわらず鍋の〆は800円というシステムだと思われます。
スープに良い熊出汁が出ているのでこれを余さず楽しむにはたっぱりうどんよりも雑炊。まあ味的には普通に味噌仕立ての雑炊なので特別熊でしか味わえない何かがあるような訳でもないんですが食べ切った満足感があります。

ニケの方はというと「おおむね満腹なんだけどもうひと口何か欲しい」といった顔で念入りにメニューを眺めています。
とりあえず「ヘビのぶった切り網焼き(¥1280)」に暫定ターゲットを絞ったもよう。

 「すみません、この網焼きって、ヘビの種類は何ですか?」

ははあ、ニシキヘビですか。飲食店のカウンターでやり取りされる質問としてはわりと異様ですね。

f:id:Mayugeloki:20180420011852j:plain名前は知りませんけど宮崎地鶏のぶつ切りを焼くやつみたいにして出てきました。味付けはシンプルに塩。ちょっと塩味がきつめですがおつまみらしい味。よく言われる通り鶏肉とまったく違和感がないあっさりした肉です。鶏ささみか胸肉に似ていますが鶏肉よりちょっと歯ごたえがクニクニと強めかなという程度。これまたクセも臭みも一切ありません。外見的にもは虫類の気配は一切残っていないため、ヘビとさえ聞かなければ初心者も安心して食べられると思います。

追加品を吟味中にニケがちょっと気にしていたメニューの一つが「 蛾の幼虫の唐揚げ」。
通常ではあり得ない組み合わせの文字列ですがこの店内においてはせいぜい中堅クラスといったメニューでしょうか。Mayugeおよびニケは韓国名物の蚕の蛹の缶詰を試食したことがあり、虫の中ではそれほど好みではないとの評価だったので興味の度合いはそこまで高くはないかも。ただ、あの缶詰を使った料理なのか、それとも特別なルートから入手したフレッシュな幼虫を使用しているのかという点が気になります。と思ってたら後ろのテーブルに座ってる集団がちょうど注文しました。覗き見るニケとMayuge。
ツヤツヤぷっくりした鱗翅目系のサナギがころんと皿に転がってるのが見えます。

 ニケ 「絹蚕‥‥ではなさそうですねぇ」
 Mayuge 「カイコよりかなり大ぶりに見えるかなぁ」

昆虫食ではおなじみの缶詰とは別ものらしいということは確認でき、そこには若干興味を惹かれるものの、やっぱりそもそも蛾の蛹系はそれほど好みの風味ではなさそうという事前経験があるため今回は注文見送り。ヘビのぶった切りってビジュアル的にも気になりますしそっち優先で。

ということで以前から気になってた珍獣屋で初体験の熊肉およびヘビ肉を堪能してきました。

子供の頃に読んだムツゴロウさんのエッセイで、ヒグマ飼育の先輩である知人宅で出された熊の肉が固くてクセも強かったというようなエピソードがあったと記憶してまして、そのイメージからもっと食べにくい肉を想像していたためかなり意外でした。
まあそれに関しては「その人と違って、自分ならどんべい(ムツゴロウさんが飼育していたヒグマ)の肉を食べることはできない」というような文脈だったような気もしますがなにぶん昔のことなのでよく憶えていません。ただMayuge内には「ムツゴロウさんも躊躇する肉」という印象だけが残るという結果になりまして。ムツゴロウも食わないってすごくね?
幼少時からのイメージも払拭できてなかなか貴重な体験でした。


 珍獣屋

  所在:  横浜市中区野毛町1-45 港興産ビル3号館2階1号室
  電話:  045-260-6805
  営業:  月~金、日祝 17:00~21:00  土曜 17:00~23:00